「2017年鉄鋼業界、物流勉強会」を2月3日に浦安鉄鋼会館の会議室で行うことにした。この様な説明会を浦安で行うのは2000年のメタル便サービス説明会以来17年ぶり。勉強会の企画は、10月のメタル便東海株主総会に感じたことが切っ掛け。メタル便東海は6社の株主でその内3社は鋼材加工販売でありメタル便東海の荷主でもある。総会で業績報告や質疑応答の後、昼食の席で物流業界のドライバー不足の話になったが、質問を含め熱い会話が続いた。その時に我々の運送業界の動向に、お客様は大きな関心をもっていることを肌で感じた。物流業界では「物流はなくならないが、物流業界は無くなる」と言われるほど、今大きく変わろうとしている。人口減少によるマーケットの縮小、ネット通販の台頭、若者の車離れと深刻な運転手不足、各業界の再編。私自身が外部環境を整理して5年後10年後の鋼材の物流を考えてみたく、お客様の意見を聞きつつ情報を共有したくなった。
テーマを与えられれば話すことは嫌いでないが、とは言え自分が企画して人に集まってもらうことは苦手でとても気が重い。
「物流はなくならないが、物流業界は無くなる」の通説には後半部分がある。「その中で物流業界が生き残るのは協業しかない」。メタル便は浦安1社でできないことを提携という形で全国展開を進めてきた。この大きな変革期にこれからはお客様とも一緒に考える必要不可欠だと思っている。そんな切っ掛けに物流勉強会がなってくれればうれしい。
マイブームになっているのが木材の処理。
鋼材や建材や輸入商品を扱っていると、置き場のあちこちに捨てパレットや木材がたまってくる。従来はある一定量がたまると産廃や木材のリサイクルにだしていたが、処理代もバカにならない。置き場も煩雑になるので、電動ノコで細かく切断してごみ出しすることにした。
写真上段は捨てパレの山、この位は1週間位でたまる。
そうするうちにただ切断して捨てるでけでなく、再利用できる木材があることに気が付いた。約1m×1mのパレットを半分に切断するだけで長尺に適したパレットに生まれ変わる。また材質の良い木材は、50cmか1mサイズに切断して台木の予備として在庫することにした。台木も目のつまった材質の良いものだと、どんどんドライバーが持っていってくれる。ただ処分するだけでなく一部でも生かすことにより、処分量も著しく減った。メタル便の混載も地球にやさしいが、こんな再利用もみのがせない。(梶)
メタル便関西の吉田氏が作った物流業界の分析表と私見。メタル便グループのメーリングリストに送られてきた。数字を大きくとらえ、業界の問題点を浮き彫りにしている。メタル便グループ各社は、長尺物の混載を自らの料金体系で設定できているので50台以下の拠点でも救いはある。
梶は視点を変えて私見を述べる。
お客様が売上が低迷してくると、よく自社の物流を内製化してトラックを自前で走らそうとする。でも一か所の事業所の支払い運賃が5億円以下(50台分)ならメリットはない。自社コストより安くできる中小の運送会社を使った方が安くあがる。運送会社に外注しても自社で走っても一台のコストは同じ。ゼロサムで、現状で示されているように50台以下の運送会社が赤字の分、自社の利益になる。
物流子会社のメリットは、いづれかだと思う。
①自社以外の荷物を組合わせコストダウンと図る
②自社化して輸送品質の向上を図る
③親会社の社員の出向先として使う
④外注の運送会社ならできない権限を自社ドライバーに与えて作業工程を減らす
交際接待費がかさむので自社でレストランやスナックを経営しても、社員の利用だけでは飲食店は成り立たない。物流も同じ。物流会社も50台以上の台数になると、輸送品質・保有車両特徴・荷物の組合せ・配送エリアなと強みを持ててくる。
コストメリットを出そうとすると、物流子会社はそれほど簡単ではない。
今年5月にスタートした、関東発→新潟混載便が順調に推移している。前年8月比で3倍の扱い量。
増えた理由は
新潟全域に配送エリアが広がり、料金が安くなり、月~金の配送が可能になったため。
それを可能にしたのが、5月からメタル便新潟として提携した燕運送の実力である。
今日も浦安にきて新潟行の荷物を積んでいく。写真の通りキャビンとボディーにメタル便のロゴが。
その燕運送も今年11月で60周年を迎える。
メタル便のメーリングリストで話題になっているのが、7月下旬から全国規模の宅配業者A社の全国規模の一斉値上げである。A社からの長尺物について値上げの話が方々からメールで聞こえてきた。そればかりか、A社のある支店から長尺物の輸送にメタル便に直接相談もあった。今までA社を利用していた顧客がA社の値上げに困って、A社を通じて解決策を求めてメタル便にたどり着いた訳である。
路線会社や宅配業者の値上げの動きは、飛行機運賃に例えると理解しやすい。飛行機にはファースト・ビジネスとエコノミーとあるが、同じ容積で収益性を高めるにはファーストやビジネスの顧客が多くする必要があるがその人数が集まらないからエコノミーで席をうめていく。しかもエコノミーも正規料金では埋らず、びっくりするほど安値で販売する。空席で運行するより安くても満席にした方がましだから。路線会社が長尺物を扱う時、エコノミー席のしかもディスカウント販売に似ている。トラックに空きスペースがあり、収益性や効率が悪い長尺物は本来扱いたくなかったが・・・。ネット通販の拡大により正規料金でトラックの荷台が満車になる様になった今日、ディスカウント販売を中止することにした。ディスカウントのエコノミー席だけで飛行機を飛ばしても採算が合わないのは容易に理解できる。関取小錦に(座れるかどうかは別として)にエコノミークラスの料金販売する様なものかも知れない。
サステナビリティ(Sustainbility)は、永続可能性と訳すらしい。
言い換えると「このままでは続かないよ、どうにかしなければ」かな、もっと簡潔表現すると「足りなくなるよ」。日本の場合「環境にやさしい」は良いねとは言ってくれるが、購買の選択要素にはならい。日本の場合と言ったのは、15年以上前に単身でスウェーデンのボルボトラックの環境チームのレクチャーを受けたことがある。1時間位技術的な取り組みを聞いた後、「何でそんなに熱心に環境にやさしい車を作る必要があるの」と質問した。「環境にやさしい車を作らないとお客様は買ってくれないから」とシンプルな答えが返ってきた。環境先進国の欧州らしいがこれは例外。オーガニックの食材が支持されのは土壌汚染反対ではなく、自分の体に農薬を入れたくないと思う人が大半なのでは。メタル便も混載だから地球にやさしいでは、使ってくれる荷主はいないのが現実。
日本の物流業界のサステナビリティ(足りなくなるもの)を考えてみた。
・運転手
・石油
・売上
人口減少で経済が小さくなり運ぶ荷物は減っていく中、運転手の確保できない運送会社が経営が立ち行かなくなる。運転手の確保できない要因は、労働力に対する対価が低い会社かな。トラック=ディーゼル車もの常識も劇的に変化するかもしれない。
その中で輸送効率を高めるメタル便が進める混載輸送、平ボディ車の全国ネットワークによる情報の共有化は間違った方向性ではないと思う。(梶)
会社の前のバス停、ダイヤ改正の表記がかかっている。
浦安周辺のバスは京成系の東京ベイシティ交通が運営しているが、今回のダイヤ改正で大幅に運行台数が減らされている。20番経路は26便から11便に、60割弱の削減。原因は明らかに運転手不足で、東京ベイシティ交通の事業所には大きな「バス乗務員募集中」垂れ幕が長らくかかがられ、バスにもバス乗務員募のポスターが常時張られている。運行便数が減り利用者には不自由だが、日常的にバスの代替えにタクシーは利用しないのでバス会社にとっては大きな減収はないと思う。
運転手不足に対して、このような思い切った対応ができるバス会社をちょっとうらやましく感じる。
メタル便浦安の募集状況は、やはり厳しく今年の4月に募集広告をだしたが応募者は1名だけで、去年の同時期の募集には10名以上の応募があったので一年間の環境変化には驚いた。幸いに紹介等で2名増員できてホットしたが、自動運転等で劇的な変化がない限りはまだまだドライバー不足は解決しそうもない。
9拠点になったメタル便、各地の名称の決定もかなり重要である。
過去に一番思案したのは岡山の拠点を置く赤田運輸産業の「メタル便中国四国」である。中国だけにすると、チャイナと誤解される。集荷配達エリア=名称というのがメジャーな考え方である。
集配エリア拡大にともない名称を変えたのは、過去に3回ある。
メタル便浦安 → 関東
メタル便福岡 → 九州
メタル便東海 → 中部
肝心なことはお客様がどこに連絡を取ってよいか、迷わないことだと思う。
トラックの表記・名刺・封筒・会社案内の印刷物・ホームページ等々、変更は多岐にわたる。
メタル便として9拠点目となる、燕市に本社をおく燕運送がパートナーに加わりメタル便新潟がスタートした。
燕市は昔は洋食器の町として有名だが広い新潟県の中間に位置し、燕運送は胎内市から糸魚川市の平ボディの混載の配送網を構築している。メタル便グループとして関東・中部・北陸から新潟地区への配送依頼は多く、燕運送が加わりきめ細やかなサービスが可能となる。新潟のメタル便正式加入を前に、浦安では先行して新潟便をお客様にご案内して5月より混載サービスを開始している。従来に比べ配送エリアも広がり、運賃も安くなり、月~金の毎日運行なのでお客様には大好評である。
メタル便グループ加入に当たっては全国各地の会社が集まり「承認式という形をとる。
・加入企業の会社紹介
・参加企業による賛否のもと承認を問う
・地区名の決定
・メタル便ピンバッジとゴロデーターの授与
結構厳かな集まりである。
メタル便は料金表にこだわっている。
特徴は次の通りである。
①配送地の市町村を明記してお客様が見積もりに使える様にした。
②集荷料金+幹線料金+配達料金を分け、お客様の選択肢を増やした。
③商品サイズには重量・立方メートル・長さの3通りを明記。
④路線会社の中継料の様なグレーゾーンをなくした。
⑤発地ごとに料金表が作成されている。
混載の長距離については、時価で応対する運送会社も結構ある。繁忙期は高額になったり、パートナーとなる荷物により料金が変動する場合も多々あるケースである。メタル便は事前に料金表を提示することにより、お客様との信頼関係を優先している。
このような長距離混載の料金表はメタル便以外では見たことがない。