メタル便グループ代表 長尺モノ・重量の全国混載輸送、混載便のトップランナー、国土交通省モーダルシフト等推進認定事業9年連続22件の実績、物流2024年問題専門家(物流2024年は問題でなく「チャンス」との持論を展開)、使命=メタル便を通じて新たな物流交通網を創る、好きな言葉=これからの若者たち、次の世代と、さらにその次の世代に向けて、慶応義塾大学商学部卒業
物流2024年問題を解説して発信中 ☞ Twitter:DaikichiKa007
物量が多いから運送会社に無理を言えていた荷主や元請けへも、運送会社にとって不採算であれ、突然の断りを言ってくる可能性が有ります。
また物流幹線網が細い地方では、2024年4月以降荷物が運べない、荷物が届かない、納期に間に合わない事などが顕著にでてくる可能性もあります。
佐川急便/ヤマト運輸/日本郵便などの最近の値上げにみても、運送会社からの現行運賃の10%増以内の値上げは妥当の様です。
「新改善基準公示」の実施によりトラック不足、特に小規模運送会社の廃業や倒産の増加も懸念され、荷主が運送会社を競わせて低運賃を維持する従来の手法も危うくなり、「商品を運ぶ」ことを最優先に考えると大幅な値上げものまざる得ない状況になってきている。
「標準的な運賃」について
国土交通省が指針とする「標準的な運賃」へ、運送会社より運賃改定の要望があった場合、相当の値上げになります。「標準的な運賃」は実勢の最低運賃より、常用便は1.5倍 長距離は1.5~2倍になっております。
参考 全日本トラック協会関連サイト
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000275060.pdf
常用便 | 4t車 | 10t車 | トレーラー |
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関東運輸局の場合 200km走行 月間20日稼働として |
57,860円/日 1,157,200円/月 |
74,880円/日 1,497,600円/月 |
95,470円/日 1,909,470円/月 |
長距離輸送 | 4t車 | 10t車 |
---|---|---|
東京発→名古屋市(距離347km) | 90,980円 | 117,840円 |
東京発→大阪市(距離493km) | 119,960円 | 155,430円 |
東京発→仙台市(距離367km) | 95,120円 | 123,210円 |
これらは荷主と運送会社が一体となって改善に取組み、2024年問題の解決のため労働生産性を高めることが重要になっている。
悪質荷主として行政から社名が公表されると、世間からブラック企業としてのレッテルが付き、消費者の行動変容やリクルートにも大きな影響を及ぼしかねません。
【企業価値の上昇】
この2024年問題の解決に向けたモーダルシフト等(船舶や鉄道利用や共同配送)による省力化や低炭素化を重視した企業の取組は、永続可能な社会への関心が高い企業として企業価値を高める
物流2024年問題は、荷主毎で全く状況が異なりますので、対策も千差万別です。
一般的に取り上げられている対策とその効果を一覧表にしました。
商習慣の見直し | 目的 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
コスト | 運転手の 労働時間 |
低炭素 | ||
受注時間の切上げ | 短縮 | 良 | 納期に影響 | |
納期の余裕 | 短縮 | 良 | 納期に影響 | |
納品頻度の見直し | 削減 | 短縮 | 良 | 納期に影響 |
納品朝一指定を外す | 短縮 | 納期に影響 | ||
付帯作業軽減 ※1 | 短縮 | 良 | 納品先の理解 |
共同配送 | 目的 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
コスト | 運転手の 労働時間 |
低炭素 | ||
幹線輸送 | 削減 | 短縮 | 良 | |
ラストワンマイル | 削減 | 短縮 | 良 | 納期の余裕必要 |
提携(同業種/異業種)※2 | 削減 | 短縮 | 良 |
長距離輸送 | 目的 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
コスト | 運転手の 労働時間 |
低炭素 | ||
中継輸送 ※3 | 増加 | 短縮 | ||
運転手運行回数を減らす | 増加 | 短縮 | ||
モーダルシフト ※4 | 増加 | 短縮 | 良 | 納期が長くなる |
物流DX | 目的 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
コスト | 運転手の 労働時間 |
低炭素 | ||
出庫予約受付システム | 増加 | 短縮 | ||
出庫情報の事前提供 | 増加 | 短縮 | ||
AIでルート配送 | 増加 | 短縮 | 良 |
作業改善 | 目的 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
コスト | 運転手の 労働時間 |
低炭素 | ||
パレット/梱包の最適化 | 短縮 | |||
荷役時間の短縮 | 短縮 |
運送会社 取引見直し |
目的 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
コスト | 運転手の 労働時間 |
低炭素 | ||
白ナンバー化 | 納期厳守で差別化 | |||
新規運送会社との取引 | バイケース | 短縮 | バイケース | |
3PL | 削減 | 短縮 | 良 | アウトソーシング |
在庫拠点の変更 ※5 | バイケース | 納期短縮 |
一にも二にも荷主への価格交渉(物流プロセス課題の改善要求含め)を行い、物価が上昇傾向の中、料金改定で得た原資をドライバーの待遇改善(賃金・労働時間短縮・職場環境改善)に充てる。
2024年4月からの法律改定により労働時間の新たな上限規制が設定され、運転手の生活時間にゆとりがもて、行政の運送会社や荷主への強い働き掛けで時間当たりの賃金に上昇や重労働の軽減など総括的に運転手の労働環境を改善する取組です。運転手がより豊かで幸せになることを目的にしております。大きな改革ですので、運送業界にいきわたるまで時間もかかり、途中の段階では固有の問題が起きることも予想されます。
この局面で運送会社の企業価値観や変化への対応力が問われます。
給料が減る会社、違法労働を強いる会社、人員不足でより労働が厳しくなる会社等、労働環境が悪くなってはいないか。
一方で特徴があり運賃値上げが可能な会社か、変化をチャンスに変えている会社か、給料や労働時間を含めて職場環境を改善しようとする会社か、見極める必要があります。
2024年問題はドライバー不足で会社は大変ですが、ドライバーにとって自身の価値観にあった企業への転職のチャンスでもあります。
給料重視<稼ぎたい>、家庭や趣味などライフスタイル重視、仕事にやりがい重視
ストレスフリー重視 <一人でマイペースの仕事>、運転手としてやりたい仕事<長距離か近距離、土日か平日か夜間の就労、普通車か大型車か特殊車、定期配送>、短期の就職か生涯の就職かなど。
建築業界では、「建築業の2024年問題」と表現され、2024年4月以降は時間外労働時間の上限が年720時間になります。物流業界と同様に建築業でも高齢化や労働人口の減少に伴う人材不足で長時間労働が常態化している課題を抱えています。建築業では技術が一人前になるまで年数を要し、これも影響して若者の離職率が高いのも特徴です。
医療業界では「医師の2024年問題」と表現され、2024年4月以降は診療に従事する勤務医には、トラック運転手と同様に時間外労働時間の上限が年960時間になります。
時間外労働時間の上限が年960時間を超えてしまう場合には、都道府県が地域の医療提供体制に照らし労務管理体制を確認した上で、医療機関の指定を行い、その上限をなんと年1860時間とできる枠組みが設けられます。令和元年で勤務医の時間外労働が年1860時間を超えは全体で21%、大学病院で46%、救命救急機能を有する病院で49%と推定されとても劣悪な職場環境です。医療事故やヒヤリハットは長時間勤務ほど高まる分析もありますが、質の向上を目指し医師の働き方改革を進めると、一方でスタッフ不足による医療崩壊が起きてしまうという厳しい状況で命を預かる職場だけに深刻です。
と首相直結の内閣府や各省庁連携で問題解決の為目まぐるしく動いております。
厚生労働省では多岐に渡る助成金も用意されております。
国土交通省では物流総合効率化法に基づき、温室効果ガスの排出削減、流通業務の省力化による持続可能な物流体系の構築を図るため、荷主企業及び物流事業者等物流に係る関係者によって構成される協議会が、実施するモーダルシフト等の取組みを支援(モーダルシフト推進事業)します。
結果として、トラック運転手の給料が改善されれば、安定した生活、特に若者においては結婚資金も確保でき、子育てやマイホームなど将来設計も立ちます。しいては消費拡大にもつながり、少子高齢化にも大きく貢献できます。働き方改革関連法は国民がより豊かで幸せになるために改定された法律で問題も発生しますが、長年の問題を解決する好機と捉えることが重要です。