メタル便はとんがったサービスなので、新規のお問合せが多く最低でも年間600件は下らない。お問合せは内容は、具体的な内容でA地点からB地点までの料金や納期のお問合せ、メタル便のサービスを詳しく教えて欲しいといった主に2パターンに別れる。後者の場合は普段お会いできないような、グループ会社が沢山ある様な大企業もある。一度はご来社いただきメタル便の内容がお客様にとって「目から鱗」の様にヒットすると、複数名に聞かせたいので今度は会社に着て説明して欲しいと言われる。そんな時驚くのが先方の臨席する方々の人数の多さである。昨日も営業がそんな場面に遭遇し、10名+2拠点ズームの陣容だったそうだ。グループ会社、関連会社、各拠点など状況はマチマチだが、打合せ時のお客様の人数の多さは、メタル便あるある。商談のクロージングや見込み顧客に対して上席を含め2~3名で訪問する企業もあるが、メタル便の営業訪問は原則一人。いつもの調子で軽やかに訪問すると通される会議室の大きさに驚き、次はづらっと並ぶ人数の多さの驚き、そして準備不足を後悔する。
以前高炉メーカーに呼ばれたので陣容を整え3名でお伺いしたが、臨席された先方の担当者の人数は多さは想像以上だった。人数の多い会議の場合、中には退屈そうで無関心な人も混じっている時もある。そんな人に感心を向けるため「御社にとってメタル便はメカケの様な存在です。御社には立派な〇〇物流様、すなわち本妻さんがおられます。メカケは主人の下着は洗濯しませんが、メカケなりのメリットや利用価値はあります。」と言ったが、さすがにこの事例は高学歴で責任あるポジションの方々には不評だった。お客様は通常元請けの担当者を通じて相談される場合が多く、「これは出来ない」「それをやりたいならもっと運賃が必要になります」など守りの回答が多い様だ。それも解かる気がする、本妻には嫌な仕事(収益性の悪かったり手間のかかる)を元請けという事で押し付けられているケースが多々あるから。
多数臨席の商談はそれなりに深さと広がりがあり、実際の仕事がスタートするまで3か月は早い方で、準備のため一年間ミーティングを重ねることもある。
マルク・レビンソンと言う名前を知ってますか。私はこの本を読んで世界経済の国境を取り払ったコンテナの発明者で有ることを初めて知りました。「貨物を箱に入れて運ぶ」という卓越した発想だけでなく、ビジネスとしてライバルと戦い、数々の失敗を経験しながら、コンテナの20・40フィートのサイズと箱の細部規格を世界基準として統一させた実践者でもあります。
この本のオビにはビルゲイツの絶賛のメッセージが添えられており、物流マンとして読むべき本としても数多くの場で取り上げられております。ただ本文が380ページ+原注・参考文献が70ページあり、読書嫌いの私にとっては、ハードルの高い本でもありました。
私が物流業界に入った40年前には、輸出入はそれなりにありましたが、食品や生活必需品の多くは国内で作られ国内で消費されたおり、産地と消費地はトラック輸送が主力で長距離輸送の依存度が高い時代でした。コンテナの発展にともない、工業生産も海外に移り日本国内が空洞化し、食品や生活必需品は消費地に近い港湾に海外からコンテナで入ってくる時代になりました。メタル便のある浦安市千鳥はと東京港に近く、パナソニックやニコンの物流基地がありここ15年に新たに建てられた倉庫群です。倉庫のほとんどの貨物は、海外からコンテナにより入荷しております。世界中で一番安い国で生産し、世界で高く売れる国々で販売していくナイキやイケアや大手アパレルのビジネスモデルもコンテナが有ってのことです。
単にコンテナのウンチクを知る本ではなく、ここでは書ききれないほど、物流に対して多くのヒントがある本です。その一つに、自動車の発見したベンツ、GEのエジソン、石油の精製王のロックフェラー、エンターテイメントのウォルトディズニー、最近ではパソコンOSのビルゲイツ、スマホのジョブズ、そこには先発有利の法則が働きいまだにそれぞれの企業が世界でトップランナーです。でも、マルク・レビンソンが創業したシーランドは現在は有りません。物流業界特有の、参入障壁の低さが有る様です。