メタル便の置き場に、小口の鋼材を混載で輸送する運送会社のトラックが引き取りにきた。輸送方法がメタル便と似ているので、私自身にはライバル意識もある。道路では頻繁に見るが、運転手の作業中の姿は初めてみる。興味深くみていると、制服のシャツのボタンははずして着流し状態、安全靴はかかとをつぶしてツッカケ、トラックの荷台にはヘルメットを着用しなでいる。見た瞬間、勝ったと思った。
この状況では大手企業への納品はまず無理、メタル便の配送先には安全基準の厳しい納品先が結構多い。扱い商品が鋼材だけに安全に関しては普段から厳しくいっている。そんなことは無いとは思うが、だらしない格好で作業しているのを発見したら是非通報下さい.
物流改善には、物流担当者の決裁権が重要になる。メタル便は共同配送型なので、ほかの運送会社とは手法が全くことなるし、他の会社にはその真似はできない。我々の提案を採用いただくことは、メタル便に切り換えかえてもらうことが前提となる。
物流改善の手法をお客様と協議を重ねていき大詰めの段階で、「既存の物流会社を変えてはならぬ」として会社の決済がおりなかった。非常に残念なことである。
物流改善を実施してメリットが出るのメタル便ではなく、運賃を払うお客様の方である。
病院にいき様々な検査を受け、病名も明らかになり、過去の症例から最適な治療方法も決めて、その方針を説明して、いざ治療をスタートする段階になって、治療を拒まれるようなものだ。
それで病気は治るのですか?
ほっておくと痛みは続きますよ。
まあいいか、医者自身が痛い訳ではないのだから。 カジ
取引であうY君、その会社の同僚から交通事故で2日前に即死したと聞く。信じられない話に、愕然とする。
Y君は東京⇔富山間を運行している長距離ドライバーで、数年にわたり週に数回顔を合わしている。年齢は40台半ば、いつもニコニコしているのがとっても印象的な人だった。家族持ちで、小学性の子供もいると聞く。
事故は富山へ帰路途中の長野県、トンネルを抜けると、下り 急カーブ アイスバーン、本来は停止に近い最徐行のところ、時速20k位のスピードのためブレーキが効かず、まず左面をガードレールに追突、反動で対向車線の登りのトラックと追突し即死とのこと。車がコントロールできない恐怖のあまり、瞬間に運転台から脱出したが、それが裏目にでて、車にはさまれた。
いつもより東京から荷物が早く積めたのか? 午後5時頃、早い時間帯で長野を通過しており、帰路の道もいくつかの選択肢が有る中、安全な遠回り(プラス30分)の道を選ばず、冬季通行には危険なルートを選択していた。
きっと、その日は特に早く家に帰りたかったのかも。本当にせつない話。
経営者の立場で、運送会社がいまどんな状況にあるかも充分想像できる。救急病院、事故車の回収、欠車のリカバリー、葬儀、警察の事情聴取、遺族への対応、保険会社、労務士、相手の運送会社への対応、労働基準監督署、運輸局、荷主への報告、社員の動揺・・・。
「今日が夢であって欲しい。社員の幸せを願って雇用したのに、幼い子を残してこんな結果になるとは。」
Y君の死を無駄にしないためにも、我々はこの事故に何を学ぶのか。
運送は、やはり命がけの仕事。ドライバーは毎日、体を張って仕事をしている。だからこそ、
「赤字でするような仕事であってはダメだ、
赤字があたりまえになるような業界ではダメだ
会社もゆとりともってなくてはダメ、どこかで無理が起こる」
と改めて思う。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 カジ