お客様の問題意識や、運送業界の中からも、メタル便スタッフが聞いてくる情報からもこの数ヶ月大きな異変が起きている。鋼材の販売量が低下する中、本格的な物流費の見直しが行なわれている。お客様自体が身を切って、コスト削減する中で、経費としてウエイトを占めるのが物流費、その金額に占める大きさは通信費や交際費の比ではない。鉄鋼関連の運送からも専属車両の契約打ち切りの話を多く聞く。その台数も半端な台数ではない。
運送業界を擁護する気持ちもないが、お客様の中で圧倒的に不効率なのが自家用車(白ナンバー)による配達や集荷である。試算表の中でも経費が各項目に分かれて見えてこないので、見過ごし易い。社員が暇な時配達しているので、青ナンバーに比べて、タダで配達している様に錯覚しやすい。でも実際は、細かな経費を足していくと実は経費の垂れ流しの場合が多々ある。また、配送効率も非常に悪かったりする。国土交通省のデーターでもその非効率は明確である。
30年前のコンピューターには、フローピーディスクやUSBもない。データー量も1メガなんてなかった。今の時代でそんな代物は役に立たない。輸送でもそんなことが起きている。共同配送型を今の世代とすると、専属車による月間解約は一世代前(この一年で顕著になてきた)、白ナンバーによる配送は二世代前(ひょっとすると化石)かもしれない。誇張する気持ちもないが、それほどこの一年の鋼材の輸送環境は変化してきている。
運送業は、労働集約型で、大きな設備投資がないので参入障壁が低く、結果として利益率が低い。そんな環境下、運送会社のライバルは白ナンバーでもある、それだけに営業ナンバーのコスト意識は高い。
インタンクを持ったり、組合で燃料の共同購入したり、車両も購入台数が多いの安く買える。燃費ではデジタルタコグラフはその代表格、音声がエコ運転のアドバイスし採点もする。最近聞いた話では燃料節減の為トラックの軽量化を計り、燃料も給油時も満タンにせず、予備タイヤも積まない方式をとる会社もあるそうだ。そこまでやるのは、ドライバーに精神的負荷が掛かるので好まないが、そのコスト意識はすさまじいい。 カジ
メタル便の帰ると引取のトレーラーが道をふさいでいる。運転手を見ると、まさかの、携帯電話で話しながらの片手運転で、後進で構内に入ろうとしている。急いで駆け寄り、運転手に通話を止める様に指示するが、図太く話し続けている。
「ふざけんな! この野郎!」と出せる限りの大声で怒鳴りつける。
「この会社の者だ、ざけんな、なに考えてるんだ」運転手はこの時怒られていると自覚して通話を止めた。怒りの為か、大きな声を出した為か、胸の鼓動がおさまらない。
その場を離れ数分後、荷台にいる運転手にもう一度問いただす。
「いつもこんなことしているのか」との問いに
「重要な電話だったので」と答えが返ってきた。
改めてその返答にあきれた、ふざけた野郎だ。
「安全以上に重要なものはない」と再び怒鳴りつけ、「今日の危険行為は、荷主の報告するから」と言葉を添えた。密告は好きでないが、事を大きくすることは重要。
怒りの源泉を考えてみた。危険行為に対する怒りよりは、会社をなめられたことに対する怒りの方が優先したかもしれない。もし彼が新日鉄の構内にいたなら、絶対こんな動作はしない。もし見つかったら、荷主を含めて大問題になるだろうから。 カジ
物流二法が成立して、運送業界も激変した。物流二法以前の中小運送会社の経営者は自由な時間を持てた。数十台のトラックを朝送りだすと、そこからは趣味の時間、ゴルフに行くか、テレビの時代劇を見るかで良かった。そんな経営者を何人も見てきた。それは規制に守られいた良き時代で、運送業の免許は簡単には取得てきず、参入障壁が高い分、競争もない。お客様に必要な車の台数さえ向ければお客様が配送先を決めて指示してくれる。だから日中はすることがないのである。
そんな名残が鋼材の物流にも存在する。年間契約や月間契約で必要台数を向けて、お客様が配車し車を動かしていく。だから物流のノウハウはお客様の中に存在する。運送会社に出来る提案は、残業時間の調整とか、契約形態のは改定くらいしかできない。でも荷主がそれで満足さる時代は終わった。
メタル便は幸い、物量と配車機能はメタル便の中にある。だから色々な物流と組み合わせができる、提案できる材料や仕組みをもっている。カジ