マルク・レビンソンと言う名前を知ってますか。私はこの本を読んで世界経済の国境を取り払ったコンテナの発明者で有ることを初めて知りました。「貨物を箱に入れて運ぶ」という卓越した発想だけでなく、ビジネスとしてライバルと戦い、数々の失敗を経験しながら、コンテナの20・40フィートのサイズと箱の細部規格を世界基準として統一させた実践者でもあります。
この本のオビにはビルゲイツの絶賛のメッセージが添えられており、物流マンとして読むべき本としても数多くの場で取り上げられております。ただ本文が380ページ+原注・参考文献が70ページあり、読書嫌いの私にとっては、ハードルの高い本でもありました。
私が物流業界に入った40年前には、輸出入はそれなりにありましたが、食品や生活必需品の多くは国内で作られ国内で消費されたおり、産地と消費地はトラック輸送が主力で長距離輸送の依存度が高い時代でした。コンテナの発展にともない、工業生産も海外に移り日本国内が空洞化し、食品や生活必需品は消費地に近い港湾に海外からコンテナで入ってくる時代になりました。メタル便のある浦安市千鳥はと東京港に近く、パナソニックやニコンの物流基地がありここ15年に新たに建てられた倉庫群です。倉庫のほとんどの貨物は、海外からコンテナにより入荷しております。世界中で一番安い国で生産し、世界で高く売れる国々で販売していくナイキやイケアや大手アパレルのビジネスモデルもコンテナが有ってのことです。
単にコンテナのウンチクを知る本ではなく、ここでは書ききれないほど、物流に対して多くのヒントがある本です。その一つに、自動車の発見したベンツ、GEのエジソン、石油の精製王のロックフェラー、エンターテイメントのウォルトディズニー、最近ではパソコンOSのビルゲイツ、スマホのジョブズ、そこには先発有利の法則が働きいまだにそれぞれの企業が世界でトップランナーです。でも、マルク・レビンソンが創業したシーランドは現在は有りません。物流業界特有の、参入障壁の低さが有る様です。